阿・吽 10
おかざき真里 著
阿吽社/小学館
最澄と空海の漫画。仏教って美しいのだなあ、最澄は美しいなあ、と思わされる、剥き出しの美しさの話。
カラーや絵ももちろん美しいのだけれど。精神が。壊れるのも構わず、どこまでもどこまでも、澄んでいこうとする精神が。美しい。
仏教は個を全てに溶かすようなあり方なのよね。
キリスト教は未だによくわからないんだけど、なんだか全てを遮断して神対己だけを貫き、個を全てにしているような。
そんな感触がしている。
現代日本の病気のような、みんな同じでないと、というのは仏教の形骸化して受け止めてしまった……つまり誤解によるんじゃないかな、と思っている。
手の機能を持つ人や足の機能を持つ人に、一律で口の機能を持たせるのが正義だと思うような、愚かな誤解。
個を全てに溶かすのは、バターと砂糖と小麦粉と卵という「個」を混ぜたら、「全て」であるバターケーキになるようなものであって。
砂糖に対して「小麦粉になれ!」といっても、いやいやならんよ、という話。
ただ、元が原子なのは一緒だから、いちいち差別するのも、壮大なる勘違いだよ、という話。
個人的にはこういう話をこんこんと人としてみたい。わかりやすく話してくれる人限定で。
専門用語使われてもわからないからねえ。
最澄にとっての空海のような友が、私にもあってほしいなあという。
今の私の夢はそれだなあ。